福岡県
福岡市
ふくおかし
那珂川を挟んで東側の商人の町「博多」と、西側の武士の城下町「福岡」が融合して発展した福岡市は、独自の食文化と熱い祭り、そして世界に誇るアクセスの良さが共存する九州最大の都市です。天神や中洲に立ち並ぶにぎやかな屋台の灯りや、香ばしいスープが食欲をそそる博多とんこつラーメン、スタミナ抜群のもつ鍋などの豊かなグルメが、暮らす人々や訪れる人々の日常を美味しく豊かに彩っています。毎年五月には市民総参加の「博多どんたく港まつり」が、七月には男たちが街を駆け抜ける勇壮な「博多祇園山笠」が開催され、街全体が感動と活気に包まれます。歴史を紐解けば、中世からアジア貿易の窓口として栄えた博多と、慶長年間に黒田長政によって築かれた福岡城下という、対照的なあゆみを持つ「双子都市」としてのルーツを持っています。明治二十二年の市制施行時には、市名をどちらにするかをめぐって大変な論争が巻き起こり、一票差という劇的な結果で「福岡市」に決定したものの、その代わりに鉄道の玄関口を「博多駅」と命名する約束が交わされました。アジアの玄関口として海と空を開いて世界を繋いできた先人たちの逞しい交易の歴史と、二つの町の誇りが、現在の豊かな営みと交差しています。
最終更新日:2026年7月31日
郷土料理・ご当地グルメ
この地域で親しまれている味を4件紹介します。もつ鍋
牛や豚のもつを、キャベツ、にら、にんにく、唐辛子などと一緒に煮る福岡市の鍋料理です。醤油味や味噌味のスープが使われ、下処理したもつと野菜を加えて火を通します。もつから出る脂やうま味がスープへ移り、野菜とともに食べる構成が特徴です。具材を食べた後は、残ったスープへちゃんぽん麺やご飯を加えて締めとする食べ方も定着しています。現在は市内を中心に専門店や家庭で提供されています。
おきゅうと
エゴノリなどの海藻を煮溶かして薄い小判形に固める、福岡市周辺に伝わる海藻料理です。博多湾で採れた海藻を利用し、かつては行商人が朝に売り歩くほど日常の朝食に取り入れられていました。細く切って、酢醤油、しょうが醤油、ごまなどを添えて食べます。名称には、飢饉の際に人々を救ったことから「御救人」と呼ばれたという説や、沖で働く漁師に由来するという説があります。現在も博多の郷土食として受け継がれています。
若鶏の水炊き
骨付きの若鶏を水から煮出し、鶏肉と野菜をポン酢などで食べる福岡市の鍋料理です。鶏ガラや骨付き肉を時間をかけて煮ることで、鶏の成分が溶けた白濁したスープを作り、キャベツ、ねぎ、きのこ、豆腐などを加えます。中国風の鶏料理や西洋のスープ料理と日本の鍋料理が結び付いて博多で発展したとされます。博多祇園山笠の直会にも用いられ、現在は専門店や家庭で一年を通じて食べられています。
辛子めんたいこ
スケトウダラの卵巣を塩漬けにし、唐辛子を加えた調味液へ漬け込んで作る福岡市・博多を代表する加工料理です。朝鮮半島で食べられていたたらこの唐辛子漬けをもとに、戦後、博多へ引き揚げた人々や事業者が日本の食習慣に合わせて味付けや製法を工夫しました。ご飯のおかず、酒肴、和え物や麺料理の具として用いられます。新幹線の博多開業後に土産品として広まり、現在は市内の多くの事業者が製造しています。